『ラプンツェルはお日様の下にいるいちばん美しい子供になりました。
12歳のとき魔法使いはラプンツェルを塔の中へ閉じ込めました。
その塔というのは、深い森の中にあってはしご段もなければ出入りの戸もなく、てっぺんに小さな窓があるきりでした。』

という昔話をモチーフとした「眠れるラプンツェル」by山本文緒 を読む。

マンションの8階で暮らす主人公の主婦の言葉。
「私は何もする気になれず、生タラコのようにぐったりと寝そべって過ごしていた。
こうして家の中で何もせず横になっている限り何も起こらないのだと気づいた。
何もしなければ平和なのだ。
水面に小石を投げるから波紋が起こるのだ。
凪いだ心でいたかったらぴくりとも動かないことだ」

人に会うことで傷ついたり気をつかって疲れるならひとりでいたい・・・
傷つくのがこわい・・・
この気持ちはよくわかる。

主人公はラストでこう言う。
「塔の鍵は私が持っていたのだ。
いつ開けて出て行ってもよかったのだ。
束縛していた看守は私だったのだ」

「塔に幽閉されているラプンツェル」は、
「幽閉されている」のではなく「自分から外界を閉ざしている」のだろうか。
そして私も・・・。

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