♪たきび

2003年12月10日 日常
♪かきねの かきねの まがりかど
 たきびだ たきびだ おちばたき
大人ならたいていの人が知っている唱歌「たきび」である。

音楽の時間。
一年生たちが大きな口をあけかわいい声でいっしょうけんめい歌う。
ひととおり歌ったあと・・・「せんせー『あたろうかあたろうよ』ってなにー?」と聞く子供あり。
聞けばその子は「くじに当たる」の意味を考えていたらしい。

「『たきびにあたる』とか『火にあたる』とか言わない?」と聞くと、もちろん知っている子も多いが「知らないー」とフシギそうにする子もけっこういた。
そうか。
「火にあたる」という文化は平成8年生まれの1年生たちにはないのか。

・・・私たちが子供のころは秋の落ち葉を集めてたきびをしその中で焼き芋を作ったりした。
10年ほど前までも、ここらでは秋になると落ち葉を燃やす煙があちこちで上がり、あの煙のいぶされたような匂いに冬の訪れを感じたものである。
でもここ数年ダイオキシンがなんとかかんとか・・でたきびなんてやっているとすぐに通報され消防署が来て指導されてしまうご時世だ。
「たきび」そのものを実際に見たことがない子が大半。

彼らには「火にあたる」どころか「ストーブにあたる」文化もないらしい。
寒いときには部屋全体があたためられるエアコンやヒーターの時代。
石油ストーブにかじかんだ手をかざして部屋が暖まるのを待つ、そんなことも知らない時代の子供たちだ。

そう思ってこの「たきび」の歌詞を子供たちと意味を考えながら見ていくと・・・
「かきね」も知らないし2番にで出てくる「しもやけおててがもうかゆい」も意味不明な歌詞のよう。
「手のここんところがね、冬になるとガサガサになって赤くなってかゆくてひどいときは血がでたりするんだよ」と「しもやけ」を説明するが・・・
だいたい「しもやけ」ができる環境に彼らはいない。
私だって「しもやけがかゆい」は実感としてないもんなあ。

そして「おちばたき」。
私もその部分は子供のころは意味不明で「落ち葉焚き(落ち葉を焚くこと)」と気づいたのはわりとあとだった。
「葉っぱがね滝のようになっていっぱいおちてくること」「落ち葉の滝だよー」「落ち葉をたたくことだよ」とかいろいろかわいい答えが返ってくる。
「落ち葉炊き」を説明するには日本にはかつて落ち葉を集めて焚くという文化が存在した・・なんてことから説明しなければいけなくなる。
ふうー。

そういえば、私も子供のころ「ふるさと」の歌詞、「♪うさぎおいしかのやま」は「うさぎがおいしい」だと思っていた。
(だって、うさぎは食用だったもん→http://diary.note.ne.jp/34236/20030915)
「あおげは尊し」の「♪今こそわかれめ」だって「こそ+已然形」で強調の意味なのだが、「分かれ目」だと思っていた。
ついでにいうと「巨人の星」だって「♪重いコンダラ」だと思っていた。
重い「コンダラ」というものを星飛雄馬が力の限り引いてトレーニングするのである・・・。

まあそんなこんなで、失われつつある日本の文化「たきび」を考える音楽のお勉強の時間だった。

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