実家は田舎なので近くにどでかい郊外型のスーパーがある。

近く、といっても実家からは車で15分。
近所にコンビニはあるものの、まとまった買い物をするには車を走らせなくてはいけない。

そのスーパーには「つめほうだいタイム」があり、私と娘はそれが実家行きの楽しみのひとつとなっている。
土日はいつも。盆や正月のときには毎日。
4時からが「つめほうだいタイム」。
それを目指して特に買い物もないのに峠越えをして車をとばすのである。
「あの母子、また来てるよ」と言われているのではと思うほど今回は通ってしまった。
商品は日替わりで、チョコやクッキーのお菓子や野菜のときもあればお惣菜やサイコロステーキのときもある。

正月あけに実家に泊まりに来ていた妹、「つめほうだいに関しては私はプロ!」と言うのでいっしょに行く。

その日の商品は「お惣菜」。
いかリング・いかの足のフライ・レバーのフライなどが並んでいる。
それをセルフサービスのお惣菜コーナーなどにある透明な入れ物(二つ折りにして輪ゴムでとめるヤツ)に詰めていく。

私も前に一度挑戦したが、このカパカパしたプラスチックの入れ物はすぐに輪ゴムはゆるむし手はフライの油でベタベタになるし、何よりつめほうだいの命ともいうべき「量」が入らない。
「やめときなよー。これは損だよ」と言う私に、妹は「コツがあるんだってー」と詰め方開始。

手際よくそして隙間なくフライたちが詰められていく。
いかリングの真ん中にはレバーのフライ。ゲソフライは方向も合わせてきっちりと。
ほうー。だいたいは大雑把なうちの家系にこんな血筋の者がいたとは。
テキパキと詰めていくその姿は職人技に近いほど。手だって汚れていない。
さすがに某大手ファストフード店のフロアマネージャーだと妙なところで感心してしまう。

私はまるで思いも及ばなかったが、コツは「輪ゴムの二重巻き」であった!
普通に輪ゴムを一本真ん中に巻いただけでは、あんなペラペラの容器なんて閉まらないに決まっている。
妹は輪ゴムを二重に巻き、さらに縦横に何本も巻いているのだ。
こうすれば容器が閉まらなくても輪ゴムできっちりと留めてるので口があく心配はない。

そして巻いたその輪ゴムのすきまからさらにフライを詰め始めた。
すごいっっ。
「いいのっ?いいのっっ?」
「いいのよおー」。うふふと笑う妹。
なんと出来上がったつめほうだいパックは、あちこちからイカの足がはみ出ている。
太ったホタテ貝がイカでも食っているかのようなおそろしい状態になっていた。
・・・まさに禁断の技である。

妹が言うには、輪ゴムがあるときはそれを何本も使うこと。
ビニール袋に入れるときは最初が肝心で下のほうからビニールを伸ばすように入れること。
何より「詰めた者勝ち」なので人の目は気にしないこと、だそうだ。
モサモサやってるのはただのオバなので、あくまでもテキパキと。
経験値が低い私にはまだまだつめほうだいの奥義は極められそうにない。

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