春へと続く一歩

2004年1月24日 日常
土日はサッカーチームの練習に行く息子。

見送りのときにふと息子の自転車を見ると前のカゴのド真ん中に大きなゴミがついている。
ちょうど玄関をはいていたところだったので、ほうきでそのゴミをはらおうとすると・・・
「だめーーっっっっ!!!」。
玄関から靴をはくのも半分にしてあわてて走り出てくる息子。
「だめだよっっ。それとっちゃだめ!」。

・・・んー?
よーく目を近づけてみる。
枯れ葉のまわりに土や綿ぼこりがからまったただのきたないゴミだと思っていたが・・・
よく見るとミノムシ。
細い枝で作られた温かい冬越しの布団を身にまとっている。
よくもまあここでミノを作ったものだ。
材料はどこでどうやって集めてどうやって息子の自転車のカゴまで登ってきたのか。
ミノムシくんの苦労を思う。

自転車は屋根だけがある車庫の隅っこに置いてありすぐ横には植木があるので、夏はすぐにクモが巣をはるし秋はカゴに枯れ葉がたまる。
息子は自分で掃除をすることもないくせに自転車が汚れるのはいやがり、ムカついてほうきではらったりしているのに・・・。
「ミノムシはいいんだ」と私が言うと「ん。がんばってここにくっついたからかわいそうだと思って」と息子。

聞けば1ヶ月ほど前にそこにあったのに気づいたので、自転車に乗るときもあまりスピードは出さないようにしていたし、雨にもあたらないよう止めるときも気をつけていたそう。
そのハナシをするときの息子の表情は、いとしいものを大切にする気持ちとそれを誰かに話すことが恥ずかしいという気持ちが出ていて、なんだか胸がほわっとあったかくなった。

冬のやさしい日差しで陽だまりになっている庭には、秋に息子といっしょに植えた(埋めた?)チューリップが硬い芽をのぞかせている。
チューリップが咲くころには息子も中学生。
手の甲が半分も隠れるほどのブレザーや息子がもうひとりはいるかと思うくらいのぶかぶかのズボン。
そんな大きなサイズの制服も注文済み。
慣れないネクタイやワイシャツに毎朝四苦八苦するのももうすぐだ。

冬の寒い風に吹かれながらも木の芽は膨らみ万物すべてが確実に「春」へと向かっている。
縁あって息子の自転車に訪れたミノムシくんはいつまでいることだろう。

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