「65 27歳の決意・92歳の情熱 対談・日野原重明×乙武洋匡」を読む。

本文中より。
日野原さん「人間は不幸には敏感だが、幸福には鈍感です。幸福はあるのに感じていない。
逆に何か不幸があると、それを何倍にも増幅して感じてしまう。
だけど実際にはそうじゃないんだよ、というものの考え方、まあ上手に生きるためのいろいろな思考法があるということを『生きかた上手』で示してみたんですが」。
乙武さん「こうして自分自身がたどってきた道を客観的に振り返ると、どんどん流れてきたんだなという感じがするんです。
何かいろいろなものに導かれて今の位置にいるなという気がします。
ただ、それは漠然と何かを待っているだけではだめで、いま目の前にあることに全力で取り組んできたからこそ、次が拓けてきたと思うのです。
これが本当にただ何もせずに、ボーっと待っているだけではきっと次というのは見えてこない。導かれることもなかったろうな、と思います」。

乙武さん「たとえばある人が問題を抱えていて、今はすごく心を煩わせているけれども、発想の転換をすればそれが後々プラスになるかもしれない。
そこから得ることもあるかもしれない。
そう考えることによって、心で感じる幸福度が違ってくるということですよね」。
日野原さん「そう、耐えられる。富士山が今は見えないけれども、ないのではなく隠れているのだ、という発想の転換から希望が生まれ、じゃあ雲が晴れるのを待つというふうに耐えることができるようになるのではないでしょうか」。

☆ ☆ ☆ ☆ ☆

「生きかた上手」の日野原さんと「五体不満足」の乙武さんの対談。
92歳で現役医師の日野原さん。地位と名誉のある年寄りによくありがちな時代錯誤で押し付けがましい人生観をふりかざしているかなと思ったことを、まず訂正。
92歳で現役医師しかもベストセラーも出しているのに、人の考えを取り入れていこうという謙虚な姿勢、「こうするべき」ではなく「こうするともっとよく物事を考えられるよ」という言い方は学ぶべき点だと思う。

そして乙武さん、この人は正統派でいつでも前向きなイメージがある。
今回も、人生の先輩の日野原さんを前にしてますます前向きにがんばって生きていこう、という背筋がびっと伸びたスタンス。
前に「五体不満足の自分は立派過ぎて本当の自分じゃないと落ち込んだ」と何かに書いていたのを読んだが、やっぱりこの本でも「五体不満足」のイメージは健在。
表紙や中に載っている写真も「冬のソナタ」の俳優さんに似ていてますますかっこいい。

日野原さんのベストセラー「生き方上手」はまだ読んでいないので読んでみたいと思ったし、乙武さんもきっとこの一面じゃなくいろいろありそうなので、他の著作も読んでみたいと思った。
お二人の生き方にとても興味が持てた。

ただ・・・「蛇にピアス」でアンダーグラウンドの世界もありだなと思った私には、一点の曇りも迷いもない立派すぎる姿勢が逆にまぶしすぎて後光に目がくらみますよおー・・・ってなカンジもあるのだが。

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