イラク日本人人質事件。
この3日間はニュースから目を離せなかった。
と同時に、実際にイラクの現状を見た戦場カメラマンが書いた「イラクの中心でバカとさけぶ」橋田信介を読む。

本文中より。
「今度の戦争で一日に何人死んだのだろう。
バクダッド中心部にある市場での誤爆で40人か50人か。
日本での一日の自殺者の半分程度である。
日本にも見えない戦場がある。空爆や砲撃はないのだが死者の数から言えばはるかに悲惨な戦場なのだ。
そう考えると戦争国家にも平和国家にも、人間が死ぬリスクはあるのだという結論を出す。
戦時下の国でウツ状態に陥ったりかぜを引くバカはいない。そんなヒマはないのだ。生き抜くために全力をあげる。
戦争国家では命はかけがえのないものとして大切にされる。
平和な社会で生きる日本人はヒマだから精神の均衡を失って自殺したり面白半分に人を殺したりする。
平和国家では逆に命は軽んじられている。」

☆ ☆ ☆ ☆ ☆

まず題名に引かれる。
このパクり具合はかなりのセンスを感じさせる。
内容も極論だなと思う箇所もあるが、いたって真面目。
変なパロディものや企画ものではない。
ベトナムを始め湾岸戦争・カンボジアの内戦・ボスニア内戦・湾岸戦争・パレスチナ戦争・アフガン戦争などの戦場を、組織に属さないフリージャーナリストとして撮影し続けてきた橋田氏のイラク戦争体験記。
戦場の描写もリアルで死と隣り合わせなはずなのに、ユーモアを交えて事実のみがさらっと書いてあるので悲壮感がない。
アメリカがイラクに戦争をしかけた本当の理由や自衛隊の本当の意味など、戦争の裏側まで知っている戦場カメラマンだからこそ書ける内容は現実味がある。

本文中より。
「平和な日本では、自分は確かに生きていると実感することが難しい。
なんの変哲もない日常生活に埋没してそれが確認できないからだ。
でも戦場は違う。イヤというほど死ぬ目にあう。
その極限状態が逆に生きている実感を与えてくれる。
一酸化炭素中毒で自殺する若者よ、『青年よ大志を抱いて戦場に行こう』。
木炭は自殺するためにあるのではなく、焼き鳥を焼くためにある。
日教組の先生よ、イジメで精神の均衡を失った『教え子を戦場へ送ろう』。
戦場で生きる意味を発見させ、命の尊さを学習させようではないか」。

これには思わず苦笑。
今の平和な日本に暮らしていて衣食住足りていることが当たり前という状態で、さまざまなことを考えすぎてウツになる人は多いのだろう。
きれいごとではない現状を知るという意味と、視点を変えて物事を見ることの大切さに気づく貴重な一冊。

☆ ☆ ☆ ☆ ☆

「人質解放声明」でほっとしたもののまだ3人の解放は確認されていないという。
政府にとっても家族にとってもつらい時間だろう。

が、崇高な意識と使命感を持って、危険な地域と承知してあえて彼らは行ったわけで・・・。
家族が止めてもふりきって行ってしまったのだろうからあとは自己責任だろう。
「人の命は地球より重い」し「救出に全力を尽くす」それは確かにそうなのだが、政府側としては「自分の子供が生きたまま焼かれたらどうしますか」と家族に泣かれたってなあ・・・と思うのだけれど。
それと同時に、純ちゃん、「自衛隊は人道復興支援に行っている」といくら力説したってやっぱり日本はアメリカを助けてるとしか見られてないだろう。きれいごとではすまないのだ。

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