森へ続く道

2004年5月6日 日常
連休の中日のこと。
実家の近く、高原にある自然村に行く。

「自然村」なんてわざわざ作らなくても大自然に囲まれている。
周囲すべてが自然なのにと私などは思うのだが、そう言うと「やだね。エセ都会人の発言だね」と地元に住む妹。
いまどきの子供たちはいくら周囲に自然があったって、昔の私たちのように田んぼでおたまじゃくしをとったりたんぽぽで首飾りを作ったり・・・そんなことをしているわけではない。
そんなんで喜んでるのは連休で都会から遊びに来ている「くだりモノ」(おのぼりさんの対語)だけだそう。

大自然のど真ん中に作られた「自然村」とは。
林間に作られたアスレチックコースや巨大ローラーすべり台、マウンテンバイクコースや渓流いかだ遊びなどができる。
ロッジやバーベキュー、キャンプファイヤー施設などもある。
標高1000メートル近い山の中腹斜面に作られているだけあって景色はすばらしく、カッコウや小鳥の鳴き声はたえず聞こえるし牛が草をはんでいる姿ものどか。
何よりも空気が澄んでいて森の香りがする。
まだ開発途中の場所で観光地化もされていないので、人も少なくとても気持ちがいい。

息子・娘とそのいとこたちは身のこなしも軽やかにアスレチックをクリアしていくが、私・ダンナ・妹のオトナ組は簡単なつり橋状のものさえ足元があやしい。
私は日々のコドモたちとの活動で、自分が小学校3年生程度の運動能力・・と自覚しているのでできないのもわかってるし無理もしないが・・・。

ダンナは昔は人より運動神経が良かったというのが自慢。
今でも「運動会のときは必ずリレーの選手だった。駅伝も選手だったしサッカー部の部長でワーキャー言われた」とことあるごとに言う。
ダンナにとっては何年ぶりのアスレチックか。
娘にできるアスレチックができないはずがない、と果敢に挑んでは撃沈していた。
あーあ。だから過去の栄光にすがっていないで現在の己(おのれ)を知るということが大切なのだよ。

ここには「フォレストボードウォーク」という木の道がある。
「車椅子でも森の中を散歩できる木の道を作ろう」というコロラド州で始まったこの活動。
縦20センチ、横1メートル50センチくらいだろうか。その板を500円で買う。
好きな絵や言葉などを書く。
貸してくれるトンカチと釘で基礎であるレールに自分たちで打ち付ける。

道は森の中に20センチずつどんどん伸びていき、打ち付けた人々はボードウォークの大切さと必要性を感じ、地元でも作ろうと思いそれぞれの場所で活動を始める。
この広がりがフォレストボードウォークムーブメントを誕生させ全国に広がっていくのだという。

まあ難しいことはともかく「絵でも描いて記念に残していこうよ」と受け付けで500円払う。
黒のマジックとトンカチと釘が渡される。
さて何を書くか。
記念に書く、といったら「夜露死苦」とか「喧嘩上等」とか・・・でも大自然の中での「ちょボラ」だしと黒マジックを握り締めていろいろ考えていると、息子すでに「○○参上」と書いている・・・。

娘たち女の子組はかわいいハムなど癒し系キャラ。
それを見て息子、マッチョなハムとか目が血走ったあやしい人物とか爆発の絵とか「何か心に闇が?」と思われるような絵を描いている。
ダンナも意味不明なキャラを書き、ボードはぜんぜん統一性のない絵で埋め尽くされてしまった。
まあそれも良し。記念だし。

もらったパンフレットには「今から十数年後、子供たちが大人になり家族を連れてこの山に来たとき、ここには誰もが自然を楽しめる木の道がある・・・私たちは未来の子供たちに豊かな自然と心豊かな社会を残してあげたいものです」とある。
絵は消えてしまうだろうが道は残り少しずつ森の中へと伸びていく。
うん、なかなかロマンがあっていい。

今は開発中だから道も伸びているけれど、「千と千尋」に出てくるテーマパークみたいに訪れる人も少なくなりいつか朽ち果てるというようにならないよう願いたい。
何年か先に来たときに「あっここに板打ったよね」と探せるなんて、なんだか楽しいなあ。

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