黒豆ココア愛好会

スーパーに買い物に行ったらふと聞きなれた音楽が。
　♪黒豆ココア　イソフラボンジューール♪
うーなつかしい。
しばらく聞いてないし商品も見かけていないと思ったら・・・。

氷川きよしの歌をバックにおねえさんが「黒豆ココア」の試飲販売をしている。
「芸能人は歯が命」とばかりに白いマリンルックに白い歯を輝かせてにっこりと笑った「のぼり」も立っている。
そして・・・山積みになった「黒豆ココア」は「アイス用」と、さわやかなブルーのパッケージに衣替えしていたのだった。

半年前の冬、私は「黒豆ココア」にハマった。
サッカーチームのおかあさんにすすめられ、寒風吹きすさぶグランドで飲んだのが最初の一口。
その日はもう寒くて寒くて・・・頭の地肌にまで北風が吹き込みこごえるような風の冷たさだった。
今思うとあのときの私なら、たとえただの砂糖が入ったお湯でもありがたくいただいただろうと思うのだが・・・。
彼女にすすめられるまま飲んだのが「黒豆ココア」。
ふーふーいいながら飲んだそれは甘くて暖かくて最高にうまかった。

彼女が言うには・・・
「これ、体にもいいのよー。黒豆には大豆の1.4倍のイソフラボンが入ってるし、ココアは食物繊維が豊富で動脈硬化の防止やストレスを減らす効果があるんだって。
イソフラボンは、更年期障害の抑制とか骨そしょう症の予防の効果があるって」。

へえー。「動脈硬化」だとか「骨そしょう症」だとか「更年期障害」だとか、あまりオトモダチになりたくないような言葉だが・・・。
ココアを飲むついでにそんな効果も得られるんならいいかもしれない。
いつもコーヒーか紅茶だけど冬はやっぱりココアもいいなあ、などと思い練習の帰りにスーパーに寄ってみる。

ココア売り場に行くと、ドン！と目立つパッケージ。
ほかのココアが茶色などシックな色合いなのに、「黒豆ココア」は「赤・黒・ゴールド」の色使い。
商品名もゴシック体で目をひく。
値段は普通のココアよりやや高めだが、グランドで飲んだおいしさをまた味わいたくて買って帰った。

冬の間、私の一日は黒豆ココアで始まり、周囲の主婦仲間もけっこう流れにのって飲み始めた。
「こっちの店では450円で売っている」とか「激安398だよ」とか情報が行き交うほどに。
春の訪れとともに、「黒豆ココア」は売り場から姿を消し・・・
私たち「黒豆ココア愛好会」も活動を休止した、というか忘れていたのだが。

ここにきてリニューアルした「黒豆ココア」はさわやか夏バージョン！
すっかり忘れていた恋人にばったり再会したような気持ちである。

「ココア」というとお子様の飲み物、というイメージだったが、この「黒豆ココア」のターゲットはオバチャンだった・・・と気づいたのは最近のこと。
ヨン様と張り合えるのはこの人だけ！というオバチャンに人気の氷川きよしのコマーシャル。
その効果もあきらかにオバチャン向け。
まんまとハマッた私は、すでにその時点でターゲットとされる購買層に入っていたのだと思うとちょっぴり哀しくもある。