3日ほど前からハエが一匹、へやの中にいる。

ゴキや蚊なら扱いも慣れているし即成仏していただくのだが、相手はハエ。
蚊のようにパチンとたたいてどうにかできるものでもなく、蚊取りノーマットはもちろんハエには効かない。
殺虫剤は体に良くない気がして使わないのでうちにはない。
コドモたちは新聞紙をまるめてたたこうとするが、そんなことでやられるはずもない。

夜は天井にはりついていて朝になると網戸のところにいる。
無駄な殺生はしたくないので何度か逃がしてやろうとしたが、なんと私の仏心を無きものにしてハエはまた室内に逆戻り。
いなくなったかなと思うとまた出てきたり、食事どきになるとどこからともなく現れたり・・・。
「五月蝿い」と書いてウルサイと読むがまさにそのとおり。
コドモたちは「ウザい」「ウザい」と言い、その言葉はあまりいい響きじゃないなあと私は思っているが、このときばかりは「ウザーい!」がハマる。

ゴキや蚊のほうがなんぼかマシで、ハエを前にしてなすすべもなく・・・。
薬局へ殺虫剤を買いに行く。
たかがハエ一匹のためにナニガシかの買い物をしなければならない、というのもなんだかくやしい。
私の慈悲の心を無駄にしたにっくきハエめー!

殺虫剤売り場は季節柄、かゆみ止めなどと並んでメインの売り場に。
蚊やゴキに対応したものが売り場の主を占めているが、「アースバポナ殺虫プレート」がハエにも効くとみた。
「殺虫プレート」とはなんと無機質なひびきのストレートなネーミング・・・。
そして下のほうにひっそりと置いてある「ハエ取りリボン」!
なつかしーい・・・!

昭和40年代の夏はコレなしには語れない、というほど私にとっては夏の風物詩のひとつである。
当時、実家はボットン便所だったし、近所に牛や豚を飼っていた農家もあったのでへやの中にハエが入り込むことはわりとよくあった。
子供がいる家庭なのでシュッと一噴きして毒をまき散らす・・というわけではないハエ取りリボンが重宝した。

くるくると回しながらひっぱると粘着力の強い長いリボン(?)が出てくる。
それをつるしておくと、かかったハエは身動きができなくなりやがて絶命する・・というしかけ。
実家ではちょうど居間の真ん中の蛍光灯のヒモの先にこれがつるしてあった。
ぬらぬらとしたいかにもくっつきそうな茶色いリボン・・・。
今思うと気持ち悪いのだが、ハエがたくさんつくほど「とれたなあ」とうれしくなったものだった。

そして何かの拍子に髪の毛につくと超悲惨である。
ちょうど子供の背の高さのところにあったということもあって、私や妹、いとこたち、みな実家のハエ取りリボンの餌食になっている。
動けば動くほど髪の毛にべっとりと張り付き脱出するためには「髪の毛を切る」という方法しかなかった・・・。
今では実家のあたりも下水道が完備しハエもめっきり見なくなり、それとともにハエ取りリボンも見ることはなくなった。

そのなつかしのハエ取りリボン。
ゴキブリホイホイやらなんやらと比べるといかにもつつましやかなその色合いやパッケージ。
まだ売っているんだなあーとしみじみと手にとって見入ってしまった。
横のほうには「ハエ取り棒」というのもある。
やはり粘着力のある20センチほどの棒を何本か立てるようになっていて、しかけはいっしょ。
思わず買いそうになったが・・・たかがハエ一匹。
ノスタルジアにひたっていたがやっぱりここは現実的に考えてアースレッドを購入したのであった。

これで一撃でしょう。
なむなむ。成仏してくださいまし。

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