40年前の約束・「雨降り小僧」
2004年11月9日 日常先週のこと。
息子の中学の芸術鑑賞会がある。
劇団民話芸術座公演の「雨降り小僧」(手塚治虫原作)を見る。
あらすじは・・・
「モウ太は奥沢分校のたった一人の中学一年生。
月に一度、町の本校に通っているがいつも町の生徒たちにいじめられていた。
泣きながらモウ太はせめて仲間がほしいと思った。
ある日、ボロボロにやぶれた蛇の目傘をかぶった「雨ふり小僧」という妖怪と出会う。
「雨ふり小僧」は、モウ太の長靴を欲しがった。
長靴をくれればなんでも願いを3つかなえてくれると約束する。
そして、二人は仲良くなりついに3つの望みを叶えてもらったモウ太だったが、雨降り小僧との約束も忘れてあわただしく町へ引っ越してしまうことになる。
それから何年も何年も、「雨ふり小僧」は約束の橋の下でモウ太が長靴を持ってくるのを待っていた・・・・モウ太を信じて。
そして、40年過ぎたある日、約束を思い出したモウ太は・・・」。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
時間がたまたまあいていたので、息子との話のネタにでもなればと特に期待もしないで見にいった「雨降り小僧」。
が!
これは私の「泣きのツボ」に見事にハマる。
自分がすっかり忘れていた「子供時代」にぐいっと引き戻され郷愁を呼び起こされ、どうにも切なくてやるせない気持ちに揺さぶりをかけられる・・・。
それはもうすでに取り壊されてしまった自分が通った小学校の木造校舎に大切な忘れ物をしてしまったことをふと思い出す、そんなような気持ち。
主人公モウ太が、豊かな自然と父母の愛情にたっぷり包まれ、時には雨降り小僧の仲間の心優しい妖怪たちと過ごす、それはきらきら輝く「少年の日々」。
が、モウ太は成長していく。
街の学校に転校し友達もたくさんでき、順調に大学にも進学し就職・結婚、三人の子供の父親にもなる。
あわただしい毎日の中で、少年時代の「約束」を時の流れのかなたに置き去りにして疲れた顔をしているモウ太・・。
その成長の場面場面で「雨降り小僧」がモウ太との約束を信じてじっと待っている姿が映し出される。
やさしく降り続く雨と印象的な音楽とともに・・・。
40年後、モウ太は自分の娘の言葉からふとその「約束」を思い出し、あわてふためいて山奥の雨降り小僧のもとへと向かう。
その感動的な再会のシーンに私は涙があふれて困った。
が、モウ太にはだんだん雨降り小僧が見えなくなる。
「子供のときしか見えないんだよ・・」この言葉にまたまた涙・・・。
もしかしたら私自身もそんな「忘れていた約束」があるんじゃないか。
私との約束を信じて30年も40年もあの大自然の中で変わらず待っている何かがいるんじゃないか。
そんなことまで思う。
きっと同じ気持ちだったのだろう。
私の周囲で劇を見ていた大人の方々はそれぞれハンカチを目に当てたり、鼻をすすったりしていた。
今まさに「子供時代」を終わろうとしている息子は何を感じたのだろうか。
「すっごくいいお話だったよね。泣けたよね」と学校から帰ってきた息子に聞く。
「先生もそう言ってたけどさ。どこをどう受け取ったら泣けるのかわからない」とのこと。
ああそうか。子供時代を思い出してきゅんと切なくなるのは大人だけか。それもそうだな。
過ぎ去ってみなければわからないことはたくさんある。
すべてのものに守られていた「子供時代」。
幼いコドモたちとべったり過ごした「母子蜜月時代」。
そのときは別になんとも思わないし今さら戻りたいとも思わないのだけど、過ぎ去って振り返るとなんとも甘ずっぱいほんわりとした気持ちになる・・・。
そしてもう二度と戻れないと知っているからこそ、時のかなたに忘れ物をしたような切ない気持ちにもなる。
やさしさを思い出させてくれた「雨降り小僧」のお芝居だった。
息子の中学の芸術鑑賞会がある。
劇団民話芸術座公演の「雨降り小僧」(手塚治虫原作)を見る。
あらすじは・・・
「モウ太は奥沢分校のたった一人の中学一年生。
月に一度、町の本校に通っているがいつも町の生徒たちにいじめられていた。
泣きながらモウ太はせめて仲間がほしいと思った。
ある日、ボロボロにやぶれた蛇の目傘をかぶった「雨ふり小僧」という妖怪と出会う。
「雨ふり小僧」は、モウ太の長靴を欲しがった。
長靴をくれればなんでも願いを3つかなえてくれると約束する。
そして、二人は仲良くなりついに3つの望みを叶えてもらったモウ太だったが、雨降り小僧との約束も忘れてあわただしく町へ引っ越してしまうことになる。
それから何年も何年も、「雨ふり小僧」は約束の橋の下でモウ太が長靴を持ってくるのを待っていた・・・・モウ太を信じて。
そして、40年過ぎたある日、約束を思い出したモウ太は・・・」。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
時間がたまたまあいていたので、息子との話のネタにでもなればと特に期待もしないで見にいった「雨降り小僧」。
が!
これは私の「泣きのツボ」に見事にハマる。
自分がすっかり忘れていた「子供時代」にぐいっと引き戻され郷愁を呼び起こされ、どうにも切なくてやるせない気持ちに揺さぶりをかけられる・・・。
それはもうすでに取り壊されてしまった自分が通った小学校の木造校舎に大切な忘れ物をしてしまったことをふと思い出す、そんなような気持ち。
主人公モウ太が、豊かな自然と父母の愛情にたっぷり包まれ、時には雨降り小僧の仲間の心優しい妖怪たちと過ごす、それはきらきら輝く「少年の日々」。
が、モウ太は成長していく。
街の学校に転校し友達もたくさんでき、順調に大学にも進学し就職・結婚、三人の子供の父親にもなる。
あわただしい毎日の中で、少年時代の「約束」を時の流れのかなたに置き去りにして疲れた顔をしているモウ太・・。
その成長の場面場面で「雨降り小僧」がモウ太との約束を信じてじっと待っている姿が映し出される。
やさしく降り続く雨と印象的な音楽とともに・・・。
40年後、モウ太は自分の娘の言葉からふとその「約束」を思い出し、あわてふためいて山奥の雨降り小僧のもとへと向かう。
その感動的な再会のシーンに私は涙があふれて困った。
が、モウ太にはだんだん雨降り小僧が見えなくなる。
「子供のときしか見えないんだよ・・」この言葉にまたまた涙・・・。
もしかしたら私自身もそんな「忘れていた約束」があるんじゃないか。
私との約束を信じて30年も40年もあの大自然の中で変わらず待っている何かがいるんじゃないか。
そんなことまで思う。
きっと同じ気持ちだったのだろう。
私の周囲で劇を見ていた大人の方々はそれぞれハンカチを目に当てたり、鼻をすすったりしていた。
今まさに「子供時代」を終わろうとしている息子は何を感じたのだろうか。
「すっごくいいお話だったよね。泣けたよね」と学校から帰ってきた息子に聞く。
「先生もそう言ってたけどさ。どこをどう受け取ったら泣けるのかわからない」とのこと。
ああそうか。子供時代を思い出してきゅんと切なくなるのは大人だけか。それもそうだな。
過ぎ去ってみなければわからないことはたくさんある。
すべてのものに守られていた「子供時代」。
幼いコドモたちとべったり過ごした「母子蜜月時代」。
そのときは別になんとも思わないし今さら戻りたいとも思わないのだけど、過ぎ去って振り返るとなんとも甘ずっぱいほんわりとした気持ちになる・・・。
そしてもう二度と戻れないと知っているからこそ、時のかなたに忘れ物をしたような切ない気持ちにもなる。
やさしさを思い出させてくれた「雨降り小僧」のお芝居だった。
コメント