「ターミナル」

2004年12月28日 映画
「ターミナル」を見る。

派手な映画ではないけれどほんわか心温まる作品。
ラストが叙情的な音楽とやさしい色合いで盛り上げてあるので、見終わったあとに「ああ、いい映画を見たなあ」という気持ちになる。

同じくトム・ハンクス主演の「キャスト・アウェイ」を思い出す。
あちらは無人島に漂流してしまった男のお話だが、こちらも空港から出られないという状況は似通ったものがあるわけで。
「キャスト・アウェイ」のときはトム・ハンクス、役作りのためにものすごい減量をしたという話だったが、今回は増量?
それともトムさん、こんなカンジでしたか。
表情豊かに中年男のいい味を出してる。
思わず笑ってしまう場面がたくさんあり、さすがトム・ハンクス!
本当に上手い俳優さんだなあと思う。

「人はいつも何かを待っている」。
映画の中でそんな言葉が出てくる。
実際、さまざまな人が「待つ」場面が出てくる。

映画を見ながら「待つこと」の意味を思う。
人生は「待つこと」の連続なんだなあと。
そして本来「待つこと」は「少し先に起こる未来を思いながら過ごす楽しい時間」であるはずだと。
人と会う、何かが届く、どこかに行く・・・などなどその瞬間を待つ間、人はそのときのことをあれこれ想像しながら「待つ」。
それは楽しい時間のはず。
でも、時間に追われていたり、相手とすれ違いがあったりすると「待つ」時間は苦痛でしかない。

ラストの場面、ビクター(トム・ハンクス)が約束をとげるために「待っていて」と言われ、「待つ」場面がある。
その待っているときのビクターの表情がすばらしい。
これ以上はない、というほど幸せそうな顔で待っているのだった。
ああ、これだよなあ・・・と思う。
「人生は待つことの連続」であり「待つことが楽しい」のであれば、「人生は楽しい」はずだ。
逆に言えば「待つことが苦痛」であれば人生つらい時間も多い。

映画全体を通しても、ビクターは待たされていることにイライラしたり怒ったりする様子は感じられない。
実際、かなり長い間空港内で待たされるのだが、待つ間に彼は言葉を覚え、お金を手に入れる手段を得、そこにいるたくさんの人々と仲良くなり、見ていて楽しそうなのだ。

自分の状況を悲観的にとらえるのではなく、今の自分にできることをひとつずつしていくこと。
「待つこと」を楽しむ姿勢でいること。
そんなことが人生を前向きなものにしていくんだな。

ほわっと気持ちがあったかくなる映画を見て、笑ったりじわっときたり。
今年最後の映画にふさわしい「ターミナル」でした。

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