「人のセックスを笑うな」山崎ナオコーラ を読む。

本文中より。
「恋してみると、形に好みなどないことがわかる。
好きになるとその形に心が食い込む。そういうことだ。
オレのファンタジーにぴったりの形があるわけではない。そこにある形にオレの心が食い込むのだ」。
「自然は美しいことがあるけれど、美しさには向かっていない。
美しいと感じるけれど、枝は美しさに向かって伸びてはいない。枝は偶然に向かって伸びている。
たまたまそういう形になっている。偶然を作り出そうとしている。偶然を多発している」。

☆ ☆ ☆ ☆ ☆

「20歳年上の女性との女性とのせつなさ100パーセントの恋愛小説」と紹介文にある。
先日読んだ、白岩玄の「野ブタ。をプロデュース」とともに第132回芥川賞候補作、第41回文藝賞受賞作品。
その題名とペンネームからしてキワモノか?と思い、気になったので読んでみる。

そのインパクトのある題名に似合わず、純愛路線の王道的作品。
いやいや決して純愛・・というわけではないが、これは絶対、題名とペンネームでソンしてる!と思う。
もし「江国香織・号泣する準備はできていた」・・・みたいな題名とペンネームだったらもっと違う感じを受けるだろうに・・・とちょっと残念な気も。
んー。でもこうして「なに?」と気になって読む私のような人もいるのだからトクしてる、のかも。

丁寧に描いてあり、そしてちりばめられているハッとするような表現にドキっとさせられる。
「夕日のあまりのきれいさにびっくりする。まるで透き通るマグロの切り身のよう」。
「白モクレンが、ウサギのようにぽんぽんと木に群がっている」。
ああー上手い表現だなあと思う。

でもまあ、内容的にはあっさりしすぎ、な気も。
最近はこういうのが流行りなんだろうけど、読んだあと残るものがないのが私としては物足りなかった。

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