5時間目のこと。
職員室で帰り支度をしていると、ただならぬ電話のやりとりが耳に入る。

「○先生!1年○組の××くん、教室にいるかどうか確認してきて!」。
気色ばんだ教務の先生の声に続いて、○先生が1年の教室に走っていく。

「子供を誘拐した」という電話が1年生の子の自宅に入り、電話中も保護者の携帯に何度も着信しているらしい。
「おかあさん、落ち着いて。今、確認していますから」と教務の先生は何度も電話口で言うが、電話の向こうはかなり取り乱している様子。

ここのところ、「振り込め詐欺・子供誘拐バージョン」がここらの小学校で起きている。
先日、うちの子供の参観・懇談会に行ったときもその話を聞き、お手紙も学校から渡された。

ちょうど、子供たちの下校時刻を見計らっての電話。
それはいきなり子供の泣き声から始まって(ここらへんですでにあやしいと思うが)、泣き声をBGMにして「子供を誘拐した。金を振り込め」と来るらしい。
子供の誘拐、と言えば、金持ちの子供をさらって何千万の単位で要求するのが普通だろう。
この「振り込め」は100万から500万あたりが相場のよう。
普通の家庭でも、なんとかできる程度の金額ってところか。

「ここらでボツボツ出てきた『振り込め』がついにうちの学校にも来たか」と私たちは思ったが、そんなこと知らないで電話を受けたら・・・やっぱり取り乱す。
この電話のおかあさんは「子供が無事か学校に確認する」という電話をしている分、冷静だと思うが、パニクってそのまま銀行に直行することだってじゅうぶんありうる。

結局のところ、誘拐されたはずの1年生はまだ教室で帰りの会をしていて無事だった。
それでも、まだ校内にいたからいいけれど、さようならをしたあとで校舎外に出てしまった時間だったら、私たちも必死に探さなければいけないところだった。

無事を確認して一件落着したあとで・・・
教務の先生「でもさ、なんで××くんなんだろね」。
その一言で私たちは全員うなづく。
××くんは、1年生でも体も大きい暴れん坊。
どうせ誘拐すると名指しするならもっとおとなしい子を・・・。
ま、詐欺団は名簿だけだろうから、名前からは「暴れん坊」も何もわかんないもんなあ。

物騒な世の中である。
先週から門も施錠するようになったし、正門の防犯カメラやインターホンも取り付け工事中。
でも・・入ろうと思えばどこからでも入れるし、一体どうすれば?とも思う。
なんだか、子供たちオリの中にいるみたい。
ここ数年、「開かれた学校」などと言って「いつでも授業を見に来ていいですよ」とか、「学校を散歩コースに入れてください」なんて言っていたのからすれば180度の方向転換。
今までみたいに、ふらっと地域の人や卒業生もうかつに立ち寄れないってことか。
学校はこの先どうなっていくんだろう。

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