訪問介護で行く利用者さん宅で。

一人暮らしのKさんは90歳はとうに過ぎていてちょっとボケ加減のおばあちゃん。
一日中コタツで寝たり起きたりしていて過している。
朝行くと「オムツがかゆくて」とはずしてしまっていてオシリ丸出しのときもあるが、そのボケっぷりがとってもかわいらしい。
私たちが行くとうれしそうにいろいろおしゃべりして、お菓子なども出してくれる。

お昼ごはんにおじやを作って、デザートにサクランボを出したとき。
Tさん、おもむろにサクランボをつまんで「♪しゃぶってごらんよぉぉー」と詩吟みたいなうなり声で歌いだす。

・・・・も・も・もしかして、それは・・・?
記憶の引き出しの奥の奥のほうに眠っていた歌がよみがえる・・・。
「♪ほらほーら 黄色いサクランボー・・・かなあ?」と歌ってみると、ものすごくうれしそうな顔をして「ああ、それそれ。♪黄色いサクランボー」。

うわーなつかしいー。
小学生かその前か・・いやいや、やっぱり小学校低学年のころか。
ちょっとイロっぽい女の子グループが歌っていた「黄色いサクランボ」だ。
昭和のナツメロだなあ。

記憶を探って思い出しながらTさんといっしょに手拍子しながら歌う。
♪若い娘が ウッフーン お色気ありそで アッハーン なさそで ウッフン ありそで アッハン ほらほら黄色いサクランボ♪
Tさんとふたりきりだから歌えるけど、ホント人前では歌えないヘンな歌・・・。

ヘルパーステーションに戻ってその話をする。
「ああー、そうそうTさん、サクランボ出すと私のときも『きいろいサクランボ』って歌ったよ。昔の歌だったんだあ」と若いヘルパーさん。「『サクランボ』っていったら「」♪あーたしさくらんぼー』だよねえ」。
・・・まあ、そうだよね。

話を聞いていたオバちゃんヘルパー、「・・・『ゴールデン・ハーフ』だっけ?エバちゃんとか」。
ああー、そうそう!

そのキーワードで記憶の引き出しがガーンと開いた気がした。
当時ホットパンツと呼ばれた太もも全開の短いパンツで歌いながら踊るハーフの女の子グループ。
ドリフターズの「8時だよ!全員集合」にも出ていて、人気だったのはかわいい笑顔のエバちゃん。
そういえばそんなグループあったよねえ。

お年寄りと話していると、記憶の奥底に沈んでいてとっくに忘れていたと思っていたことを思い出すことがよくある。
「黄色いサクランボ」がフルコーラス歌えてしまった自分にびっくり。
そのたびに、「ああー、昔の記憶って忘れ去られたわけではなく、ちゃんと記憶の引き出しの奥底に眠っているんだなあ・・・」と思う。
最近の記憶はさっぱり定着しないんだけどね。

コメント

お気に入り日記の更新

この日記について

日記内を検索