道明寺宅2度目の訪問。
膨大な決まりごとを覚えるため、今回も先輩といっしょ。

「おはようございます。前回おじゃました磯野です。きょうもよろしくお願いします」と笑顔で道明寺氏にあいさつ。
すると道明寺氏、表情ひとつ変えず「あなたねバカにしないでくださいよ。『磯野です』って言うのは、道明寺さんボケてるから私の名前覚えてないでしょ?ってことですね」。
・・・えっ?
あ・・・ボケてるからっていうわけではないけれど、忘れてるだろうなあという気持ちは確かにあるから、私はたいてい訪問先では何度でも名前を言うことにしている。
それって相手をバカにしてることなのか・・・?

道明寺氏続けて、「前回のあなたの様子を見ましたがね、あなたはずいぶんと雑な人のようですね。それにさっぱり人の話を聞いていない。わからないことは私に聞いてくださいと言ったはずなのに、あなたは先輩に聞いている。ここは道明寺の家ですからね。今まであなたが行ったお宅の年寄りは雑なあなたに文句など言わなかったでしょうが、それはみなさんずいぶんとボケているかおとなしいかなんでしょうね。私はボケてもいないしおとなしくもないですから」。
・・・はあ。
しょっぱなからガツンとやられて笑顔が凍りつく・・・。

家事のやり方というのは同じにみえるがその家ごとやり方が違う。
家ごと、というよりその人ごとに独自のやり方があるので完璧に同じになどできるはずがない。
が、道明寺家ではすべてが決まっている。
包丁とまな板は煮物・生食用・肉用・魚用と4種類使い分け。
スポンジタワシも普通の洗いもの用・フライパン用・シンク用と3種類。
口に入るものは食用洗剤と浄水で洗うこと、大根・ごぼうは皮をとらないが人参は皮をとること・・・などなど細かい決まりがある。

ファイルにもある程度書いてあるが、だいたいは同行した先輩ヘルパーにひとつひとつ教えてもらうことで「その家なりのやり方」を知ることになる。
それでも細かいことまではわからない。
「わからないときは聞け」と言われているので道明寺氏に聞くと、ものすごく不機嫌な言い方かイヤミな言い方かあからさまにキレられるのには閉口する。

たとえば、着替えた下着など洗濯しようとすると、洗濯機にタオルが数枚入っている。
「洗濯機の中のタオルはどうしますか」と聞く。
きっと道明寺氏のことだから、タオルと下着はいっしょには洗わないだろうと思いつつ。
すると、「あなたはタオルが5枚たまった程度で洗濯機をわざわざ回すんですか」。
「・・いえ。それではタオルはよけておいて下着類だけ洗えばいいですね」。
「そうです!(キレてる)」。

たとえば、煮物用に頼まれたさつまあげをヨーカドーから買ってくる。
本日の調理メニューを前もって聞いたときに「さつまあげとじゃがいもをはじめからだし汁で煮て」と言われていたが、さつまあげのパックには「煮すぎないでください」とある。
初めから煮ると「煮すぎ」になってしまう・・・と思い、道明寺氏におうかがいをたてる。
すると「あなたはずいぶんと権威がお好きなようですね。ヨーカドーさんの言うとおりにしたければそれでいいんじゃないですか」と嫌味たっぷりに言われてしまう。

「勉強になる」と言われてその気できたので、最初は何を言われても「ああ。これは自分が至らないからだ」と謙虚に反省した。
「雑だ」「ガサツだ」「気が利かない」と嫌味たっぷりにおこられても、まったくそのとおりだからしょうがない、と。
人格を否定されてる、と思っても、まあこんなザツな性格だったら否定されてもしょうがないのだ、と素直に聞き反省した。
言われたことはちゃんとメモって次回からは同じことを指摘されないよう注意しようとがんばった。
せめて「道明寺家のやり方」さえ覚えればおこられることも少なくなるだろう、と。
・・・アタマでは現状を理解しようとした。
でも朝起きたとき胃が痛くなったしなんとも気分が重く暗くなった。

またまた続く

コメント

お気に入り日記の更新

この日記について

日記内を検索