冬立つ日に

2005年11月7日 日常
「立冬」である。
とはいえ本日は雲ひとつない真っ青な空。
ちょっと体を動かせば汗ばむ陽気。
夏日・・・とまではいかないが、23度は越えていたな。

さて、「立冬」というと思い出すお話がある。
小学生のころ読んだ本にのっていてうろ覚えだったが、つい先日ネットで発見!
ああ、こんなお話だった、とうれしかったので立冬の本日ご紹介♪

☆ ☆ ☆ ☆ ☆
 
昔、冬がきて寒くなると空からお砂糖や小麦粉の降ってくる村が中国にありました。
その村では、初めの日に小麦粉が降ってくると、そのつぎの日お砂糖がたくさん降ってくるのです。 
お砂糖と小麦粉がかわりばんこに空から降ってくる、そんな日が十日も十五日も続くのです。

「やあ、今年も降ってきたぞ、白い粉が」。
小麦粉の白い粉が降りだすと、村の人たちはおけや水がめやそのほかいろんな入れ物を持ち出してせっせと粉を集めます。
そしてそれを袋に入れて、大きな蔵にいっぱい粉の入った袋をつめこみます。
「やあ、きょうは、甘い砂糖だぞ」。
お砂糖も小麦粉と同じで、砂や土がまじらないようにきれいに集めておきます。

こうして一年分のお砂糖と小麦粉をたくわえてしまうと、村の人たちは遊んで暮らせばいいのです。
「やあ、けっこう、けっこう。今年も働かなくていいわけだ」。
「ほんとうにありがたいねえ。毎日、寝ころがっていればいいんだから」。
村の人たちは、ほかの村の様に畑を耕して麦や豆をつくろうとしません。
おなかがすいたら、おだんごや砂糖菓子をつくって食ベればいいわけですから。

しあわせなことに、毎年毎年冬になるとお砂糖も小麦粉もじゅうぶんに空から降ってきました。
そうなると、村の人たちの心の中にありがたいという気持ちなどは、すっかりなくなって小麦粉やお砂糖をそまつにするようになりました。
子どもたちまで、小麦粉をおだんごにして石のように投げてみたり池にお砂糖を流して遊んだりしました。

やがて、今年も冬がやってきました。
けれども、村の人たちは空からの贈り物を待ってはいません。
もうあり余るほど前の年の分が残っていたからです。
そのうちにまた、白い粉が降ってきました。
みるみるうちに、あたり一面まっ白に積もりました。

そのとき、外で遊んでいた子どもたちが奇妙な叫び声をあげました。
「あれー! 砂糖じゃないぞー!」。
「小麦粉でもないぞー!」。
「冷たい、冷たい、冷たい!」。
「口の中へ入れたら、とけてなくなるよー!」。
 驚いて、おとなたちも外へ飛び出してきました。
「ほんとうだ。冷たくて口に入れるととけてしまうぞ!」。

空から降ってきた白い粉、それはお砂糖でもない小麦粉でもないふつうの雪だったのです。
そして、そのつぎの年もまたつぎの年ももうお砂糖や小麦粉はけっして降ってきませんでした。
たくわえてあったお砂糖や小麦粉もついになくなり、すっかりなまけ者になってしまった人たちは、たいへん困ったということです。

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