「破裂」 久坂部 羊 を読む。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
本文中より。
「お年寄りの中には早く楽になりたいという方が大勢いらっしゃるんですよ」。
佐久間は介護施設や老人医療の現場から集めたデータを披露した。
孤独な老人・難病の老人、家族に疎まれ寝たきりになり、呼吸困難に苦しんでチューブで痰をとられ、胃ろうチューブで流動食を与えられ、導尿チューブで尿をとられる老人、床ずれで骨が見えている老人、虐待される老人、楽しみも喜びもなく迷惑な存在に耐えなければならない老人、彼らにとって文字通り「死」は救いなのだ。
「安楽死を認める、ということですか」。
「もう少し積極的なプロジェクトを計画しています。コード名は『天寿』といい、超高齢化社会の問題を根本的に解決する施策です」。
「老いはどう考えてもいいもんじゃありませんよ。だから老人を減らすことは決して悪いことじゃない。
むしろ延命するほうが害が多いんです。適当なときに楽に死ぬ、これがプロジェクト『天寿』なんです。
そうすれば、年金問題も介護問題も医療費もすべて根源的に解決します」。
「プロジェクトのタイムスパンは」。
「30年くらいですかね。30年かけて、日本を20歳若返らせます」。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
このところ、医療事故裁判のニュースやお年寄りの医療費の負担増のニュースが新聞を賑わしている。
今期一番のドラマ「医龍」も佳境を迎えている。
そこで「破裂」。
「痛恨の症例(医師たちの過去の失敗)」から入っていく医療ミステリーかと思って読み始めたら・・・。
この人の前作「廃用身(はいようしん)」はグロテスクで衝撃的な問題作だった。
廃用身とは「麻痺して動かず回復しない手足」のこと。
超高齢化社会になる何年か先、介護負担を減らすために動かなくなったお年寄りの手足を切断する、というケアを描いていた。
なんと今回も、超高齢化社会の解決策として「PPP(ピンピンポックリ)」の安楽死を提案している。
それが「プロジェクト『天寿』」。
いやー・・・この架空のプロジェクト、介護のお仕事の末端に携わる私が言うのはものすごく問題があるんだろうけど・・・すごい。
ひらたく言うと、これからの医療問題・年金問題・介護問題を抜本的に解決するには 老人が適当なところで死ねばいい、それを国家的なプロジェクトで、しかも元気な老人が突然死といった形で実行するということ。
あっ!そういう方法があるのか、と思う一方で、それは口に出して言うのはヤバいだろう、とも思う。
それでも、これからの超高齢化社会、お金があって元気なお年寄りはいい。
金銭的に・身体的に他人の助けなしでは生活できないお年寄りは、「生きていたってしょうがない」「早くお迎えがくればいい」と口をそろえて言っているのは確かなのだ。
日々、そんな現場を目の当たりにしていると「長生きするのはいいことばかりじゃないなあ・・・」と思うし、それこそ私は70ちょいくらいで、前の日までピンピン生きていてポックリ逝きたいよとつくづく思う。
コドモに迷惑かけて生きていたくないもんなあ。
医療ミスの話や医局の教授選の話、外科医と麻酔医の話などなど、ドラマ「医龍」にハマっている私にはタイムリーでとても興味深く読めた。
でもさ、もしかしたらさ、この「天寿」のようなプロジェクトが現実にも極秘ですすめられていたりして・・・。
お年寄りの医療費が1割負担から3割負担になったら、実際問題「金に余裕がない年寄りは医者にもいけない」ことになる。
私だってここのところのビンボー生活で「あーあ、ビンボー人はお医者にもかかれないってことだなあ」としみじみ思うから、お年寄りはどれほどだろうか。
医療費負担増は政府の高齢者減らしプロジェクトの一環なのかも・・・。
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本文中より。
「お年寄りの中には早く楽になりたいという方が大勢いらっしゃるんですよ」。
佐久間は介護施設や老人医療の現場から集めたデータを披露した。
孤独な老人・難病の老人、家族に疎まれ寝たきりになり、呼吸困難に苦しんでチューブで痰をとられ、胃ろうチューブで流動食を与えられ、導尿チューブで尿をとられる老人、床ずれで骨が見えている老人、虐待される老人、楽しみも喜びもなく迷惑な存在に耐えなければならない老人、彼らにとって文字通り「死」は救いなのだ。
「安楽死を認める、ということですか」。
「もう少し積極的なプロジェクトを計画しています。コード名は『天寿』といい、超高齢化社会の問題を根本的に解決する施策です」。
「老いはどう考えてもいいもんじゃありませんよ。だから老人を減らすことは決して悪いことじゃない。
むしろ延命するほうが害が多いんです。適当なときに楽に死ぬ、これがプロジェクト『天寿』なんです。
そうすれば、年金問題も介護問題も医療費もすべて根源的に解決します」。
「プロジェクトのタイムスパンは」。
「30年くらいですかね。30年かけて、日本を20歳若返らせます」。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
このところ、医療事故裁判のニュースやお年寄りの医療費の負担増のニュースが新聞を賑わしている。
今期一番のドラマ「医龍」も佳境を迎えている。
そこで「破裂」。
「痛恨の症例(医師たちの過去の失敗)」から入っていく医療ミステリーかと思って読み始めたら・・・。
この人の前作「廃用身(はいようしん)」はグロテスクで衝撃的な問題作だった。
廃用身とは「麻痺して動かず回復しない手足」のこと。
超高齢化社会になる何年か先、介護負担を減らすために動かなくなったお年寄りの手足を切断する、というケアを描いていた。
なんと今回も、超高齢化社会の解決策として「PPP(ピンピンポックリ)」の安楽死を提案している。
それが「プロジェクト『天寿』」。
いやー・・・この架空のプロジェクト、介護のお仕事の末端に携わる私が言うのはものすごく問題があるんだろうけど・・・すごい。
ひらたく言うと、これからの医療問題・年金問題・介護問題を抜本的に解決するには 老人が適当なところで死ねばいい、それを国家的なプロジェクトで、しかも元気な老人が突然死といった形で実行するということ。
あっ!そういう方法があるのか、と思う一方で、それは口に出して言うのはヤバいだろう、とも思う。
それでも、これからの超高齢化社会、お金があって元気なお年寄りはいい。
金銭的に・身体的に他人の助けなしでは生活できないお年寄りは、「生きていたってしょうがない」「早くお迎えがくればいい」と口をそろえて言っているのは確かなのだ。
日々、そんな現場を目の当たりにしていると「長生きするのはいいことばかりじゃないなあ・・・」と思うし、それこそ私は70ちょいくらいで、前の日までピンピン生きていてポックリ逝きたいよとつくづく思う。
コドモに迷惑かけて生きていたくないもんなあ。
医療ミスの話や医局の教授選の話、外科医と麻酔医の話などなど、ドラマ「医龍」にハマっている私にはタイムリーでとても興味深く読めた。
でもさ、もしかしたらさ、この「天寿」のようなプロジェクトが現実にも極秘ですすめられていたりして・・・。
お年寄りの医療費が1割負担から3割負担になったら、実際問題「金に余裕がない年寄りは医者にもいけない」ことになる。
私だってここのところのビンボー生活で「あーあ、ビンボー人はお医者にもかかれないってことだなあ」としみじみ思うから、お年寄りはどれほどだろうか。
医療費負担増は政府の高齢者減らしプロジェクトの一環なのかも・・・。
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