ハンカチ親父

2006年10月6日 日常
女の園であるヘルパーステーションに併設するデイサービスセンターには男性職員もいる。
この業界の男性はだいたい物腰がやわらかい。
特にデイサービスの方々は「おかあさんといっしょ」の歌のおにいさん(40代でもおにいさん)みたいに年齢不詳。
相手がお年寄りなだけでやってることは幼稚園とそう変わりないので、なんとなくそうなるのかも。

その中のDさん。
童顔なのでじいさんばあさんには「おにいさんおにいさん」と呼ばれて人気だが、私の見立てでは30代後半。
ちょっと小太りで汗っかきの彼の必須アイテムはタオルハンカチ。
超夏場は普通の長いタオルを首から下げているが普段はエプロンにしのばせている四つ折にしたタオルハンカチである。
あの「ハンカチ王子」がブレイクするずっと前から、Dさんが汗をフキフキしている姿はたまに見かけていたし、そのたびごとにタオルハンカチの色が赤だったり黄色だったりハデなので目立つのだった。

Dさんとは話したことはないが、いつも重そうな体をせいいっぱい動かしていて、汗で人を不快にさせてはいけないと几帳面にもきちっと折ったタオルで汗をふく、きっと真面目な人なんだろうなあと私としては思っていた。

そのDさんのことがヘルパーステーションで話題になる。
「ちょっと、最近Dさんね、おばあちゃんたちに『ハンカチ王子!』なんて呼ばれてるの知ってる?」
「前はいつも原色のタオルだったのにこのごろ青いの持っててしかも3つ折にしてんの!」
「なんかさー、よく働くし気がきくしエライなーって思ってたけど、ちょっとチヤホヤされて調子乗ってるっぽいみたいだよ」
「『ハンカチ王子』っていうより『ハンカチ親父』?ふき取るのは高校生のサワヤカな汗じゃなくてオヤジの脂ぎってる汗?」。
・・・ひどい言われようである。

Dさんが「チヤホヤされて調子に乗ってる」かどうかは事実関係を確認したわけではないのでさだかではない。
まあ「ハンカチ親父」に対するばあさんたちのチヤホヤは一過性のものだろうし。
かわいいもんだと思う。

それより私が心配なのは本家「ハンカチ王子」の斉藤くん。
先日の国体勝利後の「ハンカチで汗をふいたのは『ファンサービス』ということで」の一言。
ファンサービスって・・・。
これこそ「調子に乗ってる」じゃないのか。
いやいや、斉藤くんが調子に乗ったんじゃなくて、メディアが調子に乗らせてるんだろう。
未来ある若者のことを本当に考えるのなら、あんなふうにあおらないでそっと大切に成長を見守ることが大切なのに。

ただでさえ能力のある若者は万能感を持ちやすい。
「自分がイチバン!」と思い込むことこそが若者の特権ではあるけど、それって危険だし、あとでカンチガイだったと気づいたときにはもう遅かったりもする。
斉藤くんだって普通の若者なんだから、ここまでチヤホヤされればカンチガイもするだろうな。
「ファンサービス」なんて言ってほしくなかったなあ。
ちょっと残念。

しかも今日のニュースでは「早慶戦の始球式(?)に斉藤くんを」だと。
いいのかなあ。こんなふうに周囲で持ち上げてチヤホヤされることで未来あるまっとうな若者がちょっとずつスレていくのでは。
斉藤くんが若さゆえ暗黒面に落ちてしまわないことを祈ります。

コメント

お気に入り日記の更新

この日記について

日記内を検索