ハイリスクノーリターン

何度も書くようだが、子供たちがふたり大学生になって私の生活はものすごくラクになった。

ふたりとも幼稚園に行くようになったときも「ひとりでスーパーに買い物にいける！」と感激した。
ふたりが小学生になったときも「街まで買い物に行ける！」「美容院にも行ける！」と感激。

ふたりが大学生になったらそれ以上の感激。
だって食事の心配をしなくていいんだもん！
まあだいたいはサークルとかバイトとか友達と食べてくるとか。

私ひとりなら残り物とか冷凍ものでいい。
健康茶でカンパーイ！てなもんだ。
ひとりで好きなテレビや撮っておいたドラマとか見て、デザートに自分用に買ってあったハーゲンダッツとか食べたりしてのーんびり。

ヤツらが家で食べるときは野菜とか食物繊維とか何やら体に良さげなものを作って食べさせてやるが、高校生の時のようにガッツリ食らうわけでもなくなった。ごはんだって3日に1度3合炊くくらいで間に合う。
ピーク時は朝晩3合ずつだったなあ。
いやホントこの21年間よくやったよ。
毎日毎日ごはん作って食卓を整えるなんて、今思うとホントよくがんばったと思う。

ふとマックやケンタッキーの前を通って「きょうは娘いるから買ってってやろうかな？」なんて前と同じように思ってから、「あああ。別にもうあの人たちはマックだってミスドだって食べたければ自分で食べるんだから」と思い直したりもする。

大学生の夏休みは２か月近くあってどうしよう？と心配したが、小中学生の夏休みと違って食事の心配がなくてラクだった。
学校あるときは簡単な朝ごはんくらい用意するが、それもいらないし。
昼頃起きて勝手に冷凍チャーハンなど食べてアイス食べて出かけていき、帰りは終電。とかいうのの繰り返し。そのままオールだったり。

昼過ぎまでいるので、私が出かける朝っぱらからわんこが留守番させられることもないし、自分がいない間留守番人がいるのはなかなかよかった。
お小遣いも自分たちでバイトで稼いでくれるから、こちらがよけいな出費をすることもないし助かる。

この敬老の日の連休、私は実家に行ってきた。
きのうの夜8時ころ戻ったが「おかあさんおかえり！！」と熱烈歓迎は犬のみ。
まあそれはいい。8時に戻ってご飯の用意じゃ大変だから。いないのわかってたし。
ゆうべは、息子もだんなも私が寝たあとの終電で帰ってきたから顔を合わせていない。娘はお泊りでいない。

きょうはなんだか私も実家帰りで気持ちが疲れてたし、何より雨交じりでちょっとは涼しくてごろごろするのにちょうどよかった。
だんなは朝から仕事に行ったし、息子は昼頃起きてバタバタ出かけたし、娘も泊りあけで帰ってきてシャワーしてお色直ししてまた出かけて行った。

「行くから」と部屋の外から一応声をかけただけで出かけていく3人。
何か食べたんだか食べないんだか。顔を見ることもなく。
3日か4日か顔も合わせてないけど、そんなもんなんだなあ。
もう私の子供たちとの時間はとっくに終了していたのだ。
今はただのルームシェアの人たちだ。

そしてふと、私のこの21年間はなんだったか？と思ったりもする。
自分のことを後回しにして作った時間やせっせと働いたお金は子供たちについやされた。
それで実りがあったかっていうとそうでもないしなあ。
ヤツらときたらおかあさんとコミュニケーションとる気もあまりない、ってどうなのよ。
つくづく子育てってハイリスクノーリターン。
子育てしていたころのことが実体験だったのか。幻だったのでは？と。
私にはホントに息子と娘がいたんだったか？とそう思うほどだ。

いや、決して子供の手が離れてさびしいとかそんなことではない。
あんな大変なときに戻りたいわけでもないし。
それよりも一生懸命やったことに実りもないのは空しいなって感じかな。
実りっていうか、もうちょっと人間同士としていろいろおしゃべりするとかね。

でも、人間はやっぱり慣れるものだし水は低いところへ流れていくもの。
きょうも一人ごはんでラクちん。
お。きょうは仕事もなかったから誰とも会話していない。
こんなのもめずらしいか。