泣けた!!
できるだけたくさんの日本人にぜひ知ってほしいと思う作品!

今まで読んだり見たりした特攻・戦争関連の中では「永遠のゼロ」が一番心に迫った。
この前本屋大賞をとった「海賊と呼ばれた男」を書いた百田尚樹さんのデビュー作だというが・・・文章も読みやすく構成もすばらしく、ホントにコレがデビュー作?とびっくり。

「ゼロ」とは海軍零式戦闘機のこと。
現代に生きる孫(26歳)が特攻で亡くなった祖父(当時26歳)について調べる、というところからお話は始まる。
戦友会を通して知ったさまざまな人が語る「天才にして臆病者」のゼロ戦パイロットである祖父・宮部久蔵。違った角度から語られるほどに当時の宮部像が浮かび上がってくる。

真珠湾攻撃・ミッドウェー海戦・ガダルカナル・ラバウル・レイテ沖海戦・硫黄島陥落・玉砕への沖縄戦。
どんなふうに日本が「一億総玉砕」に向かって突き進んでいったのか、飛行機の操縦技術もじゅうぶんではない若者たちがどんな経緯で特攻隊となったのかわかりやすく描かれ、胸がしめつけられる思いで読んでいく。

「特攻」というのは軍のメンツのための作戦で、負けたとわかっていてもやめるわけにはいかない闘いだったんだな。
時期にすれば1945年の3月から。戦艦大和が沈んだのは4月7日。
終戦はその年の8月のこと。
狂気の時代だったのだなとあらためて思う。

開戦以来の熟練搭乗兵はほとんど生き残っていないので、特攻の多くはちょっと前までは普通の大学生だった予備学生や16歳17歳の予科練の少年飛行兵だった。
あらん限りの苦しみと葛藤を経て、それでもお国のため愛する者たちのためと死んでいったのに、技術が未熟だったためにほとんどが犬死だったという。
特攻に飛び立つ若い兵士の「お母さん、ごめんなさい。できるなら今度は女の子として、一生お母さんと暮らしたいです」の語りの部分では号泣。

なんというか・・・平成のぬるま湯に生きる息子たちの世代にもぜひ知ってほしいことだと強く思う。
当時の若者たちがこんなふうに「自分の死が礎となり、この美しい国を、愛する者たちを守れるのなら」と覚悟の死を選んだことを思うと・・・。
祖父や父の少し上の世代が命を懸けて守ったはずの日本の国は今どうなのか?
胸を張って誇れる国になっているのか・・・?
とてももうしわけない気持ちになってくる。

そして、ラスト近くに明かされる宮部の驚愕の真実!
えええー!

そしてそして、涙で潤んだ目に飛び込む文庫版巻末の解説が2011年亡くなった児玉清さん。
ダンディーで穏やかな姿が思い出されまた涙。
この児玉さんの解説がまたすばらしい。
「この作品を泣かずに読めるか?」とあるがホントにそう。
「なまじの歴史本よりもはるかに面白くわかりやすく戦争の経過と実態を教えてくれる点でも実に秀逸な物語だと思う」うんうん。その通り。

近いうちに靖国神社に行こうと思った。
以前靖国で特攻に行く若者の手紙を読みホロリとしたが、「永遠のゼロ」を読んだあとでは号泣必至。
もう一度あらたな気持ちで向き合わなければ。

「永遠のゼロ」今年の冬に映画公開される。
宮部久蔵は岡田准一。現代の孫は三浦春馬。
当時の兵士として染谷将太・三浦貴大・遠藤雄弥・濱田岳など若手も楽しみな顔ぶれ。
私の中では今のところ邦画ナンバーワンは「男たちの大和」。
あのときも映画館で涙が止まらなくて困ったが、「永遠のゼロ」はそれ以上かも。


コメント

よっち
2013年6月3日10:27

コンブさま

私も、読みました。そして泣きました。
こんな時代があっていいものなの??
宮部久蔵さんの人として当たり前に持ってる気持ちが許されない時代、非難される時代だった事が、恐ろしいですよね。
その中でも、米国のまずは帰ってくる事が前提の考え方は、そこからして日本と違っていた事が印象的でした。

私の祖父は満州に行っていたと生前聞かされました。無事帰ってきてくれた事がとても奇跡のように思える時代だった事、でもずっと消えない傷になってた祖父。
怖かったんだ、今でも夢に見る、とよく聞かせてくれました。
繰り返してはならない過去ですよね。

(でも、とてもメンタルの体力のいる本で、いつか又読みたいな~とは思うけど、ずっと先でいい私です。でも、映画は行っちゃうと思います!!)

磯野コンブ
2013年6月3日18:15

☆よっちさま
私もよっちさんと同じく「人命」に対しての考え方が日本と米国では違っていたこと、強く心に残りました。特攻の実態があまりにも悲惨すぎて涙・・・。
終戦時にハタチだった方々は今年米寿です。
戦争の実体験者が高齢になっているので、今聞かないとナマの声は聞けなくなります。風化することが何よりこわいですね。
私も映画は公開と同時に行っちゃうと思います!

お気に入り日記の更新

この日記について

日記内を検索