やっと図書館で順番まわってきましたよ。もりのいずみさん!


娘を持つ母として、読み進めるほどに胸が苦しくなった。
それは・・・はなちゃんのけなげな頑張りに感動の涙、ではなく。
5歳やそこらでオトナにならざるをえなかったはなちゃんが気の毒で。

これは、子育てがほぼ終わった今だからこそ思うことかな。
女の子は周囲の期待を読むのがじょうず。私自身が「良い子」の役割を演じて育った、と思うし、
うちは息子に手がかかったため娘には自然と「しっかりものの娘」の役割を背負わせたかも。そんな苦い思いを持つ今だから思う。


「生きることは食べること。健康で生きる力が身についていれば、将来どこに行っても何をしても生きていける」。
33歳で癌の全身転移によって亡くなったはなちゃんのおかあさんの言葉は間違いない。その通りだ。
わずか5歳のはなちゃんに包丁を持たせ料理を教える。それも間違いない。

本の初めには、小学校3年のはなちゃん自筆の天国のママにあてたお手紙が載っている。
言葉も字もとてもしっかりしている。
お料理や家事にがんばり、人としてしっかり生きていくという前向きな言葉がつづられる。「がんばる」という文字が二度も出てくる。
けなげすぎる・・・。
「パパがお酒を飲みすぎてねぼうして学童に持っていくお弁当を用意しなかった。だから自分で作った」とある。
これを素直に「はなちゃんえらいなあ」と思うより前に、はなちゃんがけなげすぎて胸が痛くなってくる。

本を読むとどれほどはなちゃんがオトナなのかわかる。
そして、おとうさんが精神的に弱くけっこうめそめそぐずぐずしてるのもわかる。
最愛の妻を亡くしてそれはしょうがないのだが、その分はなちゃんがオトナにならざるをえない。

妊娠・出産の経緯も書かれているし若くして亡くなったお母さんの思いおとうさんの思いも書かれている。
自分が生を受けた上で背負うものが重すぎる。
そのうえでさらにやさしい妻の役割としっかりものの娘の役割をも背負っている。

最近、雑誌で見たがはなちゃんは小学5年生になりおとうさんといっしょに講演会に行っているようだ。講演会の後はサイン会もこなすようだ。

「はなちゃんのみそ汁」という一見ほんわかしたタイトルの本なのだが、読後さまざまな思いがモヤモヤっと残る。
家族の絆という「美談」ととらえればそれまで。
が、ガン治療のこと・代替医療のこと・玄米食を初めとする食のこと・家族の絆やあり方・子育て・・・などなど。

いずれはなちゃんが自分の状況をしっかり理解できるようになってからもどうかどうか素直で立派な優しい大人に育ちますように。
はなちゃんがいい子だからこそ強く思うのだった。




コメント

ありす
2013年10月16日17:04

私、この話感動だけですませたらあかんような気がしてましたよ。
だって、他人がいくら泣いてくれても、お母さんはいないし、ご飯を食べないといけないし、家事はどんどんたまるしね。五歳の子がどれだけのものを背負ってたのかわからないけど、きっとしっかりした子になりそうな気がするから、応援したいです。

磯野コンブ
2013年10月16日18:07

☆ありすさま
亡くなった人や子供がからむことだしご家族のことでもあるので、他人がどうこう言えることではないのだけれど、それでももっとなんとかならなかったのか(過去形)?ならないのか(現在形)?と思ったりします。
そうそう。ありすさんと同じく、心からはなちゃんにエールを送りたいわ。
そしてムリしないでよ、疲れたら休んでいいし悲しかったら泣いていいよ、オリコウにならなくていいよ、と言ってあげたいわ。

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