就職する娘が引っ越した。
就職先は家からじゅうぶん通えるけどひとり暮らしは人をオトナにする。
私も18で家を出たしハタチ過ぎた子供との暮らしってのはちょいちょい軋轢を生んでいたから、娘が就職と同時に1人暮らしをすると聞いたときはいいんじゃない?と思った。
新居の下見・契約、各種事務手続き、新生活に必要なものリストの作成、買い物などなど引っ越しはやらなければいけないことがたくさん。
「うあーもうめんどくさい!もうどーでもよくなった!」としっかり者の娘がアタマをかかえるほど。
ひとつひとつ新生活への準備は整っていった。
自分なりの新生活へのビジョンがあって、こちらはちょっとしたお手伝いくらいでひとりでちゃっちゃっと物事をすすめていく娘はえらいなあと思った。
でもちょっと待って待って。
買い物にいっしょに出かけていろいろ見たり帰りに何か食べてきたりすること、ポメ子がああしたこうしたといっしょに笑うこと、ふだんの何気ない会話やグチの言い合い、そんな今まで普通にそこにあったことがこれからはなくなるの???
・・・「子離れできない情けない親」なんてみっともない姿はさらせないので普段通りいつも通り。
1日1日引っ越しの日がせまって。
「住民票移しました」の連絡にはホロリときた。ああーもううちの子じゃなくなったか、と。
引っ越しの朝。
いつものように洗濯物を干すと娘のものはなかった。洗濯すると持っていけなくなるから、と洗濯機に入れなかったのだろう。
バタバタいそいで荷物を車に積み込み出発して引っ越しをすませて帰ってきて・・・
娘の靴が入っていた玄関の靴箱ががらんとしていた。洗面所にたくさん並んでいた色とりどりのビンやスプレーもなくなっていた。
あんなに物があふれかえっていた娘の部屋も片付いていてカーテン越しの陽射しがやけに明るかった。
1人暮らし?いいんじゃない?と思っていたのに。
もう干渉されたくない年齢の子供たち、見えるところにいるからつい口出ししてしまう私。ときどきはぶつかって「もうオトナになったコドモとの同居はムリ!はやく出ていけば?」と思うこともたびたびだったのに。
子供が独立していった主婦友が「さびしい」と言うのを聞いて「立派に社会に出て行ったんだからそれで良かったんだよ」なんて思っていたのに。
世の中の母親たちはみんなこんな思いで子供を独立させてるんだな。
涙を笑顔に変えて旅立ちを応援する。でもぽっかりと自分の身体の一部分がなくなったような喪失感。
18で家を出て北国の片田舎から東京の大学に行ったとき、私は毎日が楽しくて家のことも故郷のことも思い出さないほどだった。
都会へ旅立つ娘を父母はどんな思いで見送ったのだろう。
母が亡くなってから父が話していた。私が東京に出たとき、結婚して埼玉に行ってしまったとき。母はいつも座っていた居間のコタツで1日中泣いていた、と。いつも淡々としていた母なのでとても意外だった。
母の涙を見ていたら私は新しい生活に迷いなく入ってはいけなかっただろう。未来を見ている若者は実家のことなど思い出さないくらいでいい。親は顔で笑って心で泣いて。
人生いくつになっても初めてのことばかり。実際自分の身に起きてみないと身にしみてわからなかったことにまたひとつ遭遇した。
就職先は家からじゅうぶん通えるけどひとり暮らしは人をオトナにする。
私も18で家を出たしハタチ過ぎた子供との暮らしってのはちょいちょい軋轢を生んでいたから、娘が就職と同時に1人暮らしをすると聞いたときはいいんじゃない?と思った。
新居の下見・契約、各種事務手続き、新生活に必要なものリストの作成、買い物などなど引っ越しはやらなければいけないことがたくさん。
「うあーもうめんどくさい!もうどーでもよくなった!」としっかり者の娘がアタマをかかえるほど。
ひとつひとつ新生活への準備は整っていった。
自分なりの新生活へのビジョンがあって、こちらはちょっとしたお手伝いくらいでひとりでちゃっちゃっと物事をすすめていく娘はえらいなあと思った。
でもちょっと待って待って。
買い物にいっしょに出かけていろいろ見たり帰りに何か食べてきたりすること、ポメ子がああしたこうしたといっしょに笑うこと、ふだんの何気ない会話やグチの言い合い、そんな今まで普通にそこにあったことがこれからはなくなるの???
・・・「子離れできない情けない親」なんてみっともない姿はさらせないので普段通りいつも通り。
1日1日引っ越しの日がせまって。
「住民票移しました」の連絡にはホロリときた。ああーもううちの子じゃなくなったか、と。
引っ越しの朝。
いつものように洗濯物を干すと娘のものはなかった。洗濯すると持っていけなくなるから、と洗濯機に入れなかったのだろう。
バタバタいそいで荷物を車に積み込み出発して引っ越しをすませて帰ってきて・・・
娘の靴が入っていた玄関の靴箱ががらんとしていた。洗面所にたくさん並んでいた色とりどりのビンやスプレーもなくなっていた。
あんなに物があふれかえっていた娘の部屋も片付いていてカーテン越しの陽射しがやけに明るかった。
1人暮らし?いいんじゃない?と思っていたのに。
もう干渉されたくない年齢の子供たち、見えるところにいるからつい口出ししてしまう私。ときどきはぶつかって「もうオトナになったコドモとの同居はムリ!はやく出ていけば?」と思うこともたびたびだったのに。
子供が独立していった主婦友が「さびしい」と言うのを聞いて「立派に社会に出て行ったんだからそれで良かったんだよ」なんて思っていたのに。
世の中の母親たちはみんなこんな思いで子供を独立させてるんだな。
涙を笑顔に変えて旅立ちを応援する。でもぽっかりと自分の身体の一部分がなくなったような喪失感。
18で家を出て北国の片田舎から東京の大学に行ったとき、私は毎日が楽しくて家のことも故郷のことも思い出さないほどだった。
都会へ旅立つ娘を父母はどんな思いで見送ったのだろう。
母が亡くなってから父が話していた。私が東京に出たとき、結婚して埼玉に行ってしまったとき。母はいつも座っていた居間のコタツで1日中泣いていた、と。いつも淡々としていた母なのでとても意外だった。
母の涙を見ていたら私は新しい生活に迷いなく入ってはいけなかっただろう。未来を見ている若者は実家のことなど思い出さないくらいでいい。親は顔で笑って心で泣いて。
人生いくつになっても初めてのことばかり。実際自分の身に起きてみないと身にしみてわからなかったことにまたひとつ遭遇した。
コメント
週末が待ち遠しいですね。
うちは20日に引っ越しをしてきました。
朝10時前に行って、なんやかんやで帰ってきたのが夜の8時過ぎ。
引っ越しの準備というものは何をするべきなのか?全く分かっていない娘に腹を立てながらも、これでちゃんとやっていけるのだろうか?と不安になりましたよ。
家から車で1時間少しのところですが、近くて遠い感じがしました。
うちも引っ越し20日でしたよ!
ベッドとか組み立て家具類はニトリから届くので家からの荷物は車で運ぶはずが乗り切らず、ダンナだけ2往復。そのあと自転車に乗って行き置いてくる・・というおとうさんお疲れ様、な日でした。
車なら45分くらいなのだけど、電車だと乗り換えがあって駅からも徒歩20分で1時間はかかります。近くて遠い感じです。
引っ越して3日、夜ずーっと起きていても朝いつまで寝ていてもテレビ見っぱなしでも誰にも何も言われない自由を謳歌してるんだろうなあー。
心情がヒシヒシと伝わってきて、自分だったら…、と考えちゃったりもして、ホロリときちゃいました。 (T_T)
こういうことを文章化させたら、コンブさんの右に出る人は居ないんじゃないかなあ?。プロのエッセイを読んでるようです(いや、それ以上かも…)。
洗濯物の有無までもが家族の旅立ちを感じさせるなんて、その時になってみないと分からないことですよね。
お母さまも、やっぱり素敵な方ですね☆
私は子供の前で上手く感情をコントロールできるかなあ…(不安…)
ポメ子ちゃんの様子をお聞きして、再びホロリ… (T_T)
ポメ子ちゃん、いい子ですね☆
自分がそうだったから「子供は独立するもの」と思ってていつでも出てっていいよと思ってたんです。就職で出るならなおさら喜ばしいことだし。
でも思ってたよりずっとポッカリ感が強くて自分でもええー?って。
オトナになった子供は離れたほうがまた別のいい関係になれると思うので戻ってきてほしいんじゃないんだけど。なんだろうなー。
それまで当たり前にあった娘との日々はもう絶対戻らないって思う喪失感?なのかな。たぶんダンナや息子との関係が良好ならこうは思わないんだろうねえ。
うちも一人暮らし謳歌してます。誰にも干渉されないのがこんなに楽しいって〜♪と言ってます。でも、たまに電話かけてきたら、私があれやこれや言って結局長電話。でも、離れているからこそ「ふん、ふん、へー」と聞いてくれます。家にいたらこうはいかんでしょう。でも、ちゃんと食べてるかな、とか思いつつたまに思います。引っ越してすぐに寝込んでたらしく、病院どうしょーと困ったそうで、ネットで探した近所の病院にもらった薬でなんとか治ったよ、と言っていて。本当にしんどかったらヘ行ってあげるからね、と言いましたが、多分よほどの事がない限り電話してこないんでしょう。
今の私の心配はこのまま一人暮らしが楽しくてずっと1人でいそうなのが、ちょっと。
オトナになった子供はありすさんとこみたいに距離をとったほうがいいんですよね。
家にいるとやっぱり親は親なのであれこれ気になってしまう。もういろいろ言われたくない年だもんね。娘が引っ越して5日。こちらもちょっとずつ慣れてきました。
あまりにも1人暮らし快適だと縁遠くなりそう。